プラセンタ療法
- 2023年1月2日
- その他診療について
プラセンタ療法
お肌や、全身の細胞の若返りを期待し使用される「プラセンタ」ですが、その効能は歯科治療においても長年応用されてきています。
歯科でのプラセンタ療法とは、どのようなものなのでしょうか。
プラセンタとは
プラセンタとは、胎盤から抽出されるエキスで、母体から胎児への栄養分供給、また胎児を守る免疫機能の役割も担っています。
胎児を育てるために必要な、ビタミンやコラーゲンなどの栄養素を豊富に含有しており、各臓器を作るため一つの細胞を数十兆個まで増殖させ、さまざまな生理機能を調節する働きも担っています。
プラセンタには他の組織や臓器とは異なる、多種多様な活性物質を総合的に含有しているのです。
歯科治療をはじめ、医療全般において、このプラセンタの効果を活用する方法が開発され、既に50年以上前から、肝炎や女性の場合は更年期障害の治療にも使われてきました。
また、美容業界ではプラセンタエキスを体内に注入することで、全身の細胞を活性化させ、自然治癒力を向上させるとして、効果が高い施術法と評価されています。
歯科におけるプラセンタ療法とは
プラセンタは、はじめ肝炎の治療薬として厚生労働省から認可を得ていました。
その後、プラセンタの効能が歯科治療にも活かせないか?という発案で、歯や口腔分野での臨床実験が行われました。
インプラント手術においても、感染防止、治癒創傷の効果において期待されています。
顎関節症による筋肉や関節周囲の炎症、咬合異常による首や肩がこり、歯ぎしり食いしばりにも有効な治療とされています。
プラセンタ療法の種類
では、実際に歯科分野ではどのような種類のプラセンタ療法があるのでしょうか。
注射薬
メジャーなプラセンタ療法は、注射薬による治療で、「メルスモン」か「エランネック」というメーカーのプラセンタ注射が日本では採用されています。
プラセンタの効用として更年期障害にも効果があるといわれているので、閉経後など、女性ホルモンが低下する事で発症する、不眠、肩凝り、のぼせや冷え性、イライラ、頭痛など様々な症状を緩和する事が期待できるとされています。
注射は大きな効果が期待できますが、プラセンタエキスが特定生物由来製剤(プラセンタは臓器由来)となるのでデメリットとしては一度注射をすると、献血ができなくなります。
なので輸血を受けた人が献血できなくなるのと同様となりますのでこの点だけご注意ください。
プラセンタ療法の歯科的効能・効果
中年期に入って、なかなか疲れが取れない、お肌の調子が、、など誰でも迎える不定愁訴に、プラセンタ療法が効果的です。
プラセンタにはコラーゲンの生成促進、抗酸化作用もあるので、細胞の老化を阻止する効果があるとされます。
プラセンタ療法を行うことで、本来の健康的な状態に戻り、若さをキープすることが期待できるのです。
では、実際に歯科分野でプラセンタ療法はどのような効果が期待できるのでしょうか。
歯周病予防
歯茎が腫れる歯肉炎や、歯肉炎が悪化して起きる歯槽膿漏などの歯周病に対し、プラセンタの抗炎症作用が症状を抑える役目を果たします。
口内炎の改善
ホルモンバランスの崩れ、日々の生活でのストレス、栄養不足による口内炎にも、プラセンタ療法は効果が期待できます。
プラセンタには口腔内の炎症を正常な口腔環境に整える働きがあります。
顎関節症の改善
「顎関節症」とは、顎関節周囲の靭帯や筋肉の不具合により顎がスムーズに動かない症状がみられる症候群を指します。
「顎関節症」により、体の不調、肩こり、首の周りにつながることもあります。
プラセンタ療法の一般的効能・効果
プラセンタは病気の治療に使われるだけでなく、疲労の回復やアレルギー疾患の改善、アンチエイジングなど、幅広い分野で活用されています。
最近の研究では、【細胞増殖分化誘導因子】という胎児を形成させるために特に必要な因子が入っていて、それが胎児のそれぞれの臓器を生成するための指令を与えていることが判明しました。
では、プラセンタ療法の一般的な効能、作用はどのようなものでしょうか。
抗酸化作用
体内の活性酸素を除去し、肌の老化の進行を防ぐなどの影響をもたらします。
抗アレルギー作用
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、などの様々なアレルギーに対し、抗ヒスタミン作用や鎮炎症作用で辛いアレルギー反応の緩和的役割が期待できます。
血行改善作用
更年期以降に起こる、血行不良などにもプラセンタ療法は役立ちます。血流を促し、体全体に新鮮な血液を巡らせる効果を促進します。
抗疲労作用
更年期、甲状腺ホルモンの分泌が低下し起こる「甲状腺機能低下症」という症状があり、この事が原因で体力低下や全身倦怠感などが表れます。
プラセンタ療法によって、抗疲労作用が働き、これらの不定愁訴にも適用されます。
自然治癒力を高める
プラセンタは究極の「生命維持装置」でもあるので、ご自身の自然治癒力が高まる効果も期待できます。
肝細胞再生作用
プラセンタ療法で、強肝・解毒作用が促され肝臓の働きを強化する手助けをします。つまり幹細胞再生作用も有効とされています。
つまり、肝硬変、脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎などの治療にも適用されています。
創傷治癒促進作用
上記のようなさまざまな作用を総合すると、傷の治りを早める効果が認められます。
例えば、身近な例を挙げると、肌荒れやニキビ跡の改善に効果的が見られますので、美容分野でもプラセンタ療法が広く扱われています。
美肌効果
美白、たるみ改善、シミ・シワの解消にも美容外科などで、プラセンタ療法は「定番」となっていますね。
プラセンタ療法の副作用・注意点
プラセンタ療法は50年近くの歴史がありますが、その間に重篤な副作用の症例報告はありません。
ただ、プラセンタの原料によって、患者様への不適合がある場合が極々わずかにある可能性も否めません。
患者様によってはプラセンタ治療後、発熱、悪寒、発疹、悪心などの症状があらわれるケースもあります。
しかし2回目以降は、安定してくるので経過観察が必要とされます。
「ラエンネック」「メルスモン」は厚生労働省に認可されており、ヒト由来のタンパク質やアミノ酸を含みます。
それが原因となりアレルギー体質の人が使用すると、喘息などのアレルギー悪化やショック症状を起こる可能性も否めません。
特に体力が著しく低下しているときは、副作用が起きやすいので注意が必要です。
院長 西田くらら