根管治療の成功率(初回根管治療)
- 2024年11月8日
- 根管治療
根管治療を行った場合、どのくらいの確率で治癒するのでしょうか。
例えば、癌の治療を行った場合、全てを切除しても100%の確率で治癒するわけではありません。その癌の種類や性質、病変の範囲、切除範囲、併用する抗癌剤などによっても影響を受けるものです。○○の5年生存率は○○%というように、治療をするにあたって、どのくらいの確率で治るのかは気になるところかと思います。
根の先にできる病気のことを根尖病変、またその治療を根管治療(非外科的歯内治療・外科的歯内治療)と言いますが、その治癒率についても示した2008 Ng YL の論文によると、イニシャルトリートメント(初回根管治療)の治癒率は、おおよそ70〜90%です。
基準を満たす63の論文が引用されており、その研究デザインには大きなばらつきがありますが、このデータはここ40〜50年で変わらないということも示されています。
つまり、最新の機器や、材料を使ったからと言って成功率が上がるわけではないのです。
イニシャルトリートメントにおいて、根尖病変がない場合、成功率はおおよそ90%です。
しかし、このベースとなる論文の多くは、無菌的治療を徹底し、専門医が多くをしめる欧米が対象となっています。
日本での成功率がこれほど高いのか、は疑問が残るところです。
東京医科歯科大学の元教授である須田英明先生の論文によると、日本での初回根管治療成功率は50%程度であるというデータもあります。
大切なのは、無菌的治療、つまり歯冠側からの感染や漏洩を防ぐこと、そしてその他多くのテクニックや知識が豊富な専門医による治療により成功率が上がる、ということが示唆されているかと思います。