根管形成について
- 2023年3月23日
- 根管治療
根管治療の目的とは、根尖性歯周炎の予防と治療です。
その目的を達成するために、重要な事項が3つあります。
- 無菌的処置
- 細菌の除去
- 再感染の防止と、除去できなかった細菌の処理
以前のコラムで無菌的処置については書きましたので、本日は細菌の除去について。
細菌の除去( bacterial reduction)は、根管形成、化学的根管洗浄、根管貼薬の3ステップで行います。
無菌的処置の原則を守った上で、最も重要なのは根管形成です!
1998年、Daltonらは「根管拡大形成によって、拡大号数をあげていくと細菌数は減少するが、ある一定以上になると細菌数減少の変化は著明でなくなる」ことを報告しました。これは根管形成単独では感染源の除去に限界があることを示しています。
2000年、Shupingらは、Daltonらと同じデザインで、次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄と水酸化ナトリウムでの貼薬により、拡大号数を上げるごとに細菌数が減ったことから「根管形成は薬材が根尖付近まで到達するためにも有効である」ということを示しています。
つまり根管形成・拡大は、直接的に根管内の汚染物質を排出し、また間接的に根管内に薬剤を灌流させるために行わなければならない大切な過程であるといえます。
また、根管形成において大切なこととして、
- トランスポーテーションなどの偶発症を避けること
- 見落とし根管や感染源の取り残しを防ぐこと
- 歯質の過剰切削をさけること
が、重要です。これらは成功率や生存率に悪影響を与えるので、一つ一つは当たり前のことですが、各過程をおろそかにせず慎重かつ丁寧に治療を行うことが大切です。
根管形成も、使う器具や操作など多岐に渡るステップがありますので、またの機会に書かせていただきますね!
院長 西田くらら